こんにちは!「ゆる山ルート」管理人のヒデです。普段は地元の福井で、等高線がびっしり詰まった地形図を眺めながら、どうやって安全に、そして知的に低山を攻略するかばかり考えている51歳のパパです。今回は、素晴らしい景色と極上の温泉が待っている、神奈川県の「足柄・箱根・湯河原エリア」の低山ハイキングについてお話ししますね。

箱根外輪山をはじめとするこのエリアは、初心者夫婦や家族でのんびり歩くのに最高の場所に見えますが、実は火山エリアならではの「目に見えない物理的な罠」がいくつも潜んでいます。「ただの低い山だからスニーカーで大丈夫だろう」「下山したらすぐに温泉へ飛び込もう!」なんて油断していると、翌日動けなくなるほどの疲労や、思わぬ転倒トラブルに見舞われてしまうことも。この記事を読んで、火山地形特有のリスクをロジカルに回避して、安全で快適なハイキングを楽しみましょうね。

【結論】地盤の滑りやすさと下山後の温泉ラグを攻略するのが鉄則
足柄・箱根・湯河原エリアを安全に楽しむためには、雨の後に泥濘化する脆い火山灰土壌の対策と、下山後の温泉入浴のタイミングを科学的にコントロールすることが不可欠です。この記事では、現場で役立つ具体的な歩き方やレイヤリング術、効率的な駐車戦略まで分かりやすく解説します。
水分を含んだ火山灰土壌や浮き出た軽石は一瞬で滑ります。歩幅をいつもの半分から3分の1に狭め、自分の重心(骨盤)の真下に足裏全体で垂直に体重をかけることで、スリップと膝への衝撃を完全に防ぎます。
外輪山の壁効果で風が遮られるササ道は熱が籠もります。衣服の脱ぎ着ではなく、アウターのフロントジッパーや脇のベンチレーションを開閉するだけで空気の流れをコントロールし、大量の発汗と汗冷えを防ぎます。
下山直後の温泉は、足の疲労物質を流すための血液を全身の皮膚へ分散させてしまい、疲労回復を遅らせます。下山後は水分を補給しながら30分間しっかり座って休み、体を落ち着かせてから名湯に入りましょう。
一般的な下山口である小涌谷駅周辺には観光用の駐車場が一切ありません。車でアプローチする場合は宮ノ下駅周辺の町営立体駐車場に停め、下山後に箱根登山鉄道で1駅戻って車を回収する計画を組んでください。
※この記事の核心を、忙しい方やすぐに答えを知りたい方向けに30秒で読めるよう凝縮しました。さらに詳しい理由や理論については、本編でじっくり解説しています。より深く納得したい方は、ぜひこのまま読み進めてみてくださいね。
箱根の脆い地盤と温泉の性質を知ることが失敗しない鍵となる

大自然の中を歩いてリフレッシュする週末ハイキングは最高のご褒美ですが、足柄・箱根・湯河原エリアを歩くときは、一般的な登山の常識とは少し違った視点を持つ必要があります。それは、この地域が「箱根火山」という活火山によって作られた特別な場所だからです。
僕たちが歩く登山道は、大昔の噴火によって積もった火山灰や軽石でできており、水を含むと驚くほどドロドロになって滑りやすくなります。さらに、山を下りた先には極上の箱根温泉や湯河原温泉が待っていますが、実はこの「温泉に入るタイミング」にも、体の疲れを翌日に残さないための科学的なルールがあるんです。地盤の硬さ(路面の滑りやすさ)と、温泉が体に与える熱のメカニズムという2つの「変数」を正しく理解することこそが、このエリアのハイキングで絶対に失敗しないための鍵になりますよ。
箱根の濡れた火山灰は足元を液状化させ滑る原因になる

このエリアの低山を安全に歩くために、まず知っておかなければならないのが、足元の土の特殊な性質です。一見すると普通の黒い土に見えますが、実はこれ、富士山の火山灰などが積もってできた「黒ボク土」と呼ばれる特別な土壌なんです。
参考:神奈川県温泉地学研究所「該当資料のタイトル(※要確認)」
水分を吸った黒ボク土は靴底の溝を埋めて摩擦を無くす
黒ボク土はスポンジのようにたくさんの隙間があり、乾燥しているときはフカフカとしていて足腰に優しいクッションになってくれます。ところが、雨が降った後や朝露で水分をたっぷりと吸収すると、その性質が180度変わってしまいます。
ハイカーが上から体重をかけると、土の隙間にたまっていた水分の逃げ場がなくなり、土の粒子同士の結びつきが一瞬でバラバラになります。まるで泥のプールのようになって、登山靴の裏にある深い溝に泥がびっしりと吸い付くように埋まってしまうんです。こうなると、靴底と地面の間の摩擦(グリップ力)が完全にゼロになってしまい、平らな場所でもつるつると後ろや横に足が滑る危険な路面へと変貌してしまいます。
砕け散った軽石はベアリングのように靴底を転がす
また、雨が降っていない乾燥した日でも油断はできません。このエリアの斜面には、火山から噴き出した微細な軽石や、ボロボロと脆く砕けた小石がたくさん転がっています。傾斜のある下り坂でこうした場所に足を乗せると、硬い靴底と地面の間で細かな軽石がコロコロと転がり、まるで自転車の車輪の中にあるボールベアリングのような役割を果たしてしまいます。ブレーキが全く効かずに足元がずるっと前へ逃げてしまうため、滑るのを防ごうとして体幹や太ももの内側の筋肉がずっと緊張し続けることになります。その結果、普通の山の土道を歩くときと比べて、同じ距離でも数倍のエネルギーを消費してしまい、あっという間に足がクタクタになってしまうのです。
富士山の西風を遮るササの道は熱が籠もり汗冷えを招く
足柄・箱根エリアの低山を歩いていると、気候の面でも不思議な現象に遭遇します。それは、山の斜面や道中の環境によって、温度や風の強さがまったく変わってしまうという点です。
巨大な外輪山が風を遮るため衣服の内側がサウナになる
金時山や明神ヶ岳、浅間山といった箱根のカルデラを取り囲む「外輪山」は、主に富士山側(北西や西)から吹き抜ける冷たくて強い季節風を遮る、巨大な防風壁の役割をしています。風が当たらない南東側の斜面や、背丈の高い「ハコネザサ」がトンネルのように密集している縦走路に一歩足を踏み入れると、それまで吹いていた風が嘘のようにピタッと止まり、完全な無風空間になります。
一見すると「寒くなくて快適だな」と思いがちですが、ここが大きな罠です。急な登り坂をハアハアと息を切らせて登っているとき、風が全くないササのトンネル内では、体から出た熱が空気中に逃げてくれません。服の中に熱気がどんどん籠もり、まるでサウナの中を歩いているかのように室温と湿度が急上昇して、気がつけば下着までビショビショになるほどの大量の汗をかいてしまうのです。
稜線へ出た瞬間の強風が体温を急激に奪い疲労を誘う
服が汗で重くなった状態のまま、ササのトンネルを抜けて遮るもののない稜線(山の尾根)や山頂にポンと飛び出した瞬間、今度は外輪山の壁を乗り越えてきた富士山からの強烈な西風が体に吹き付けます。無風のサウナ状態から、一転して冷凍庫のような強風にさらされるわけです。服に大量に染み込んだ汗がこの強風によって一気に乾くとき、体からものすごい勢いで熱(気化熱)を奪い去っていきます。これが登山で最も恐ろしい「汗冷え」の正体です。体の芯の温度が急激に下がることで、筋肉が冷えて硬くなり、一気に体が重くなって運動能力がガクッと落ちてしまう因果関係があるのです。

僕も福井の里山でササ藪を刈り分けた古道を歩くときによく経験するんだけど、風が通らない藪の中って本当に熱が籠もるんだよね。そこで汗をダラダラかいた後に尾根に出て冷たい風に吹かれると、ガタガタ震えるくらい寒くなる。低山だからって舐めたらダメで、この風のギャップを頭に入れておくことが本当に大切なんだよ。
下山直後の温泉は酷使した足の疲労回復を遅らせる
ハイキングを無事に終えて登山口まで下りてくると、目の前には箱根湯本や湯河原の素晴らしい温泉街が広がっています。「あぁ、早く湯船に飛び込んで足を伸ばしたい!」と思うのは当然の心理ですよね。でも、ちょっと待ってください。疲れた体をいたわるための温泉ですが、実は「入るタイミング」を一歩間違えると、逆に疲れを長引かせてしまう生理的なタイムラグ(疲労回復ラグ)が存在するのです。
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温泉を使った賢い疲労回復のコツを別の山でも実践してみましょう。
運動後すぐの入浴は筋肉に集まるべき血液を全身へ散らす
山を歩き回ってクタクタになった時、足の筋肉の内部では微細な損傷が起き、乳酸などの疲労物質や老廃物がたくさん溜まっています。人間の体はとても賢くて、下山直後のタイミングでは、酷使した下肢の筋肉に血液をドクドクと集中させています。血液が酸素と栄養をせっせと運び、傷ついた筋肉を修復して老廃物を洗い流そうと、まさに全力でリカバリー作業を行っている最中なのです。
この下山後すぐ(おおむね30分以内)の状態で、温熱効果がとても高い箱根や湯河原の温泉にドボンと浸かってしまうとどうなるでしょうか。温かいお湯と水圧の刺激によって、全身の皮膚の血管が一気にブワッと広がります。すると、本来なら足の筋肉へ集中して老廃物を回収するはずだった血液が、全身の体表や他の組織へと均等に分散されてしまうのです。結果として、一番疲れている足への血流量がガクッと減ってしまい、老廃物の排出プロセスがストップしてしまいます。これが原因で、温泉に入ったのに「翌日まで足が重い」「何日もひどい筋肉痛が抜けない」という、悲しい疲労回復の遅れを引き起こしてしまうのです。
交感神経が高ぶった状態の入浴は心臓への強いストレス
さらに、歩き終えたばかりの僕たちの体は、まだ興奮状態を司る「交感神経」が激しく働いています。車に例えれば、エンジンの回転数がまだ上がったままの状態です。この状態で急に熱い温泉に浸かることは、急激に血圧を乱高下させることになり、心臓や血管などの循環器系に対して過度な熱力学的ストレスを与えてしまいます。せっかくのリフレッシュが、体に大きな負担をかける結果になってはもったいないですよね。安全に、そして温泉の恵みを100%体に染み込ませるためには、温泉に入る前に体を「おやすみモード」へ切り替えるための適切な準備時間が必要になるのです。
重心の真下を踏む超小股歩行が火山の一瞬のスリップを防ぐ

水分をたっぷり含んでドロドロになった火山灰土壌(黒ボク土)や、靴底の下で転がるバラバラの軽石。これらが引き起こす滑りやすさをコントロールするためには、現場での歩き方を工夫するのが一番の近道です。特別な道具を揃えなくても、自分の「歩幅」を少し変えるだけで、路面の滑りやすさは劇的に改善できますよ。
歩幅をいつもの半分に狭めて足裏全体で垂直に荷重する
滑りやすい場所を歩くときの最大の秘訣は、徹底して小股で歩くことです。具体的には、歩幅をいつもの半分から3分の1くらいに小さく狭めてみてください。大股でガシガシ歩いてしまうと、地面を斜め後ろに強く蹴り出す形になり、足元に横方向の強い力が加わります。摩擦力が極端に低くなっている火山の土では、この蹴り出す力に耐えきれず、一瞬でツルッと滑ってしまうんですね。
常に自分の骨盤(重心)の真下に足の裏が着地するイメージを持ち、上から下へ向かって垂直に体重をかけるように歩くのがコツです。こうすると、靴の裏全体が地面にピタッと密着して、路面が持っている本来の摩擦力を最大限に引き出すことができますよ。
前方への斜めの踏み出しを無くせば下りで膝が笑わない
特に下り坂では、この「垂直に踏む小股歩行」がものすごい効果を発揮します。足を大きく前に踏み出すと、かかとからドスンと着地することになり、ブレーキをかけるために太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)へ強烈な負担が繰り返しかかってしまいます [cite: 1]。これが、長い下り坂で足がガクガクと震えてコントロールを失う「膝が笑う」現象の正体です [cite: 1]。
足を骨盤の真下にそっと置いていくように超小股で下りれば、無駄なブレーキロス(制動負荷)が一切かからなくなります。体幹や下肢の筋肉を無駄に緊張させずに済むため、同じ距離を歩いても驚くほど疲れにくくなり、火山特有のスリップを安全に回避しながらスマートに下山できるようになりますよ。
衣服の脱ぎ着を捨ててジッパーの開閉だけで風を操る
箱根外輪山の「巨大な遮風壁」によって、背の高いハコネザサのトンネル内は風がゼロのサウナ状態になり、一歩外の尾根に出ると強風の冷凍庫に変わるという気候のギャップをお話ししましたよね。この過酷な温熱環境を乗り切るためには、スマートな風の管理が必要です。
ササの無風帯では前を全開にして熱を逃がし発汗を抑える

狭いハコネザサの密集地帯では、ザックがササに引っかかったり足元が不安定だったりするため、立ち止まってわざわざアウターを脱いだりザックにしまったりするのは本当に一苦労で、大きなストレスになります。そこでおすすめなのが、衣服を「脱ぎ着」するのではなく、ジッパーの「開閉」だけで空気の流れをコントロールする方法です。
ササのトンネルに入る前の段階であらかじめアウターのフロントジッパーや、脇の下にあるベンチレーション(空気穴)を完全に全開にしておきましょう。無風で熱が籠もりやすい空間に入っても、胸元や衣服の隙間から自分の熱気が効率よく外へ逃げてくれるため、衣類が飽和してしまうような大量の発汗を未然に防ぐことができますよ。
風が吹き抜ける稜線ではジッパーを閉めて気化熱を防ぐ

そして、ササのトンネルをいよいよ抜けて、富士山からの強い西風が吹き付ける尾根(稜線)に出る直前、今度は全開にしていたジッパーを上までシュッと一気に閉めます。あらかじめ発汗を最小限に抑えてあるため、服の中はほとんど濡れていません。服が乾いていれば、どれだけ強風に晒されても急激に体温を奪われる「汗冷え」のリスクを完全にシャットアウトできます。
ジッパーの上げ下げだけで体表の温度調節を行うこのテクニックは、体力を無駄に消耗させないための最も合理的で素早い疲労回避手段になるんです。
下山後あらかじめ30分休むだけで翌日の筋肉痛は激減する

下山直後に温泉へ入ると、本来なら疲れた足の筋肉に集中して老廃物を回収するはずだった血液が全身へ均等に分散してしまい、疲労回復が遅れる「疲労回復ラグ」が起きることを前半でお伝えしました。では、翌日に疲れを残さないためにはどうすればいいのか、その具体的な解決策を解説しますね。
水分を補給して座って待つ間に血液が老廃物を回収する
解決策はとてもシンプルです。下山が完了してから少なくとも30分間は、温泉に浸かりたい気持ちをグッと堪えて、意図的な「プレ・リカバリー期間(待機時間)」を設けることです。登山口のレストハウスや温泉施設のロビー、あるいは近くのベンチシートに腰を下ろし、水分をしっかり補給しながらゆっくりと静止する時間を確保しましょう。
この30分の間に、山歩きで興奮して高ぶっていた「交感神経」が、徐々にリラックスを司る「副交感神経」へとスムーズに切り替わっていきます。それと同時に、下肢の筋肉にたっぷりと集まった血液が、運動によって溜まった乳酸や代謝老廃物をしっかりと回収し、自然な体内循環へと安全に戻してくれるようになります。
自律神経を落ち着かせてからぬるめの名湯を堪能する
この30分間のプレ・リカバリーを経て、心拍数も血流の分布も落ち着いてから、ようやくお目当ての温泉へと向かいます。入浴する際は、42℃を超えるような熱い湯船にいきなり浸かるのではなく、38℃前後の少しぬるめの温泉にのんびりと浸かるのがポイントです。
また、余裕があれば温泉の温かいお湯と、冷たい水シャワーなどを数分ごとに交互に浴びる「温冷交代浴」を取り入れるのも非常に効果的です。血管が能動的にキュッと縮んだり広がったりを繰り返すため、まるで天然のポンプのように足に溜まった疲労物質を驚くほどのスピードで押し流してくれます。このステップを踏むだけで、翌日の筋肉痛の発生率が大幅に低下し、箱根や湯河原の温泉が持つ本来の疲労回復効果を100%体に染み込ませることができますよ。

下山完了から温泉の受付に到着するまでの間に、僕はお気に入りのマイボトルで地元の美味しい湧き水を飲みながら、ゆっくりストレッチをして30分を過ごすようにしているんだ。これを徹底するようになってから、翌日の朝に布団から起き上がるときの足の軽さが本当に全然違うんだよね。ぜひ試してみてほしいな!
足柄箱根湯河原エリアの駐車キャパと温泉効率の完全網羅

ここからは、足柄・箱根・湯河原エリアでおすすめの主要な4つの低山スポットについて、それぞれの登山口の駐車環境や、下山後に名湯へ直行するための物理的な距離・移動の効率を一覧表で分かりやすく比較していきますね。
| 山名(スポット) | 主要登山口・駐車場名 | キャパシティ・料金条件 | 直結する名湯と物理的距離 | アクセス効率と特徴評価 |
|---|---|---|---|---|
| 大野山 | 山北つぶらの公園駐車場 都夫良野駐車場 |
約65〜90台(無料・時間制限あり) 3台(無料・24時間可) |
中川温泉、さくらの湯 ・山北駅側下山口から徒歩すぐ |
駅側の「さくらの湯」へ徒歩ですぐ接続できるため電車利用時の効率は最上級。車の場合はつぶらの公園の閉門時間に注意。 |
| 矢倉岳 | 地蔵堂駐車場 矢倉沢駐車場 |
30台(無料・24時間可) 9台(無料・24時間可) |
モダン湯治 おんりーゆー ・地蔵堂から車で約15〜20分 |
下山後に車で温泉へアプローチする動線は非常にスムーズ。ただし公共バスの本数が非常に少ないのが難点。 |
| 幕山 | 幕山公園第1〜第5駐車場 | 合計約80台(普段は無料・24時間可) ※イベント期のみ有料 |
湯河原温泉 ・幕山公園から車で約5〜10分 |
登山口から名湯・湯河原温泉街までの物理的距離が極めて近く、下山後の移動効率はエリア随一の快適さ。 |
| 浅間山(箱根) | 宮ノ下駐車場(町営立体) 函嶺洞門駐車場 |
46台(有料・24時間) 19台(無料・24時間) |
宮ノ下温泉、小涌谷温泉、箱根湯本 ・下山駅から鉄道や車で数分〜15分 |
小涌谷駅周辺に駐車場がないため、宮ノ下に停めて電車で戻る賢い計画が必須。多彩な名湯へ高効率で接続可能。 |
大野山は山北駅側の名湯接続が電車利用時に最上級となる
大野山は谷峨駅から山頂を経て山北駅へと下る縦走ルートが一般的で、歩行距離は約11km、所要時間は約4時間ほどです。山北駅側へと下山すると、駅のすぐ目の前に山北町健康福祉センター「さくらの湯」があり、電車を利用してハイキングに来た場合の移動効率はエリアの中で最上級の快適さを誇ります。
ただし、車を利用してアプローチする場合は「山北つぶらの公園駐車場(約65〜90台)」を利用することが多いですが、ここは17:00(夏期土日は18:00)に門扉が完全に施錠されて車が出せなくなるという、通称「17時完全施錠門閉トラップ」があります。濡れた火山灰地盤で歩行ペースが予想外に落ちて下山が少しでも遅れると大変なことになるため、時間に余裕がない場合は、24時間出入りできる都夫良野の小さな駐車スペースを利用するか、最初からJR谷峨駅周辺の民間駐車場を利用するのがスマートですよ。
矢倉岳は自家用車でのアクセスがおんりーゆーへ直結する
矢倉岳は地蔵堂を起点として往復する約8km、約4時間のコンパクトなルートです。地蔵堂駐車場(30台)は無料で24時間いつでも出入り可能なため、自家用車を使ったハイキング計画と非常に相性が良いのが特徴です。
下山後は、車を走らせて約15〜20分ほどの距離にある「モダン湯治 おんりーゆー」へダイレクトに向かうアプローチ動線が非常にスムーズで効率的です。ただし、地蔵堂へと向かう公共の路線バスは運行本数がかなり限定されているため、電車とバスを乗り継いでいく場合は時刻表をしっかりと逆算しておく必要がありますよ。
幕山は湯河原温泉が至近だが梅の宴の混雑期だけは避ける
幕山は山頂までの往復が約2.7〜5.0km、所要時間も約2時間30分と非常にコンパクトにまとまった、初心者夫婦にも大人気の優しい低山ルートです。何よりの魅力は、登山口である幕山公園から名湯・湯河原温泉街までの物理的距離が極めて近く、車なら5〜10分、路線バスでも15分ほどで極上の湯船にアクセスできるというエリア随一の移動効率の良さにあります。
普段は終日無料で静かな駐車場ですが、2月上旬から3月中旬にかけて開催される「梅の宴」の期間だけは状況が一変します。全国から数万人の観光客が押し寄せるため、周辺道路は大渋滞し、駐車場も有料(300〜500円)になって大混雑を引き起こします。もしこの期間に静かなハイキングを楽しみたいなら、日の出直後に現地へ到着するよう超早朝に移動するか、あるいはこの混雑期をあえて外して、相模湾を見下ろす美しい大パノラマと静寂をのんびり独占するのが僕のイチオシです。
浅間山は宮ノ下駅を起点にするパーク&レールが鉄則
最後に紹介する箱根の浅間山(標高802m)は、豊かな森と千条の滝(ちすじのたき)などの美しい景観が楽しめる素晴らしいコースです。歩行距離は約6.6km、約2時間20分と手頃ですが、車でアクセスする際にはこのエリア特有の「駐車場ゼロ制限」という高いハードルが立ちはだかります。
小涌谷駅の周辺には観光用の駐車場が一つも存在しない
浅間山の一般的なルートでは、千条の滝を経由して箱根登山鉄道の「小涌谷(こわくだに)駅」へ下山することになります。普通なら「小涌谷駅の近くのコインパーキングに車を停めてスタートすればいいや」と考えますよね。ところが、小涌谷駅の周辺には、観光用の時間貸し駐車場が本当に一つも存在しないのです。
知らずに車で現地へ向かってしまうと、車を停める場所を求めて箱根の狭い山道をいつまでも彷徨うことになってしまいます。小涌谷周辺に車を置くことは不可能である、という厳しい現実をあらかじめ頭に叩き込んでおく必要があります。
箱根登山鉄道を利用して車を回収する賢いルート設計
この駐車場ゼロ制限をスマートに打破するための必勝法が、宮ノ下駅を起点にした「宮ノ下起点パーク&レール」戦略です。車は必ず、24時間利用できる宮ノ下駅周辺の町営立体駐車場(46台・有料)に駐車して、そこからハイキングを開始しましょう。
山を歩き、千条の滝をのんびり眺めて小涌谷駅へと下山した後は、小涌谷駅から箱根登山鉄道のどこかレトロで可愛らしい車両に揺られて、宮ノ下駅までわずか1駅だけ電車に乗って戻るのです。このローカル鉄道を旅の行程にあらかじめ組み込んでおくことで、駐車場の心配を完璧にクリアしつつ、宮ノ下や箱根湯本の多彩な名湯へ高効率で接続できるようになりますよ。
火山地形の物理を理解すれば週末の箱根ハイクは安全になる

今回は、神奈川県の足柄・箱根・湯河原エリアにおける低山ハイキングを、火山の地盤力学と温泉の熱力学という少しマニアックでロジカルな視点から攻略してきました。「たかが低山」と侮らず、雨の後のドロドロな火山灰には超小股歩行で挑み、ササ道の熱籠もりにはジッパーの開閉でスマートに対処する [cite: 1]。そして下山後はグッと30分我慢して体を休めてから、最高の温泉に飛び込んで疲れを完全に洗い流す。この地域の物理的な性質を正しく理解してあげるだけで、週末の山歩きは驚くほど安全で、何倍も快適なパラダイスへと変わります。
もちろん、どんなに万全な計画を立てていても、ハイキング中に足首に強い違和感を覚えたり、急な体調の異変を感じたりした場合は、決して無理をせずその場で立ち止まり、自分のペースを守って安全に引き返す勇気を持ってくださいね。万が一、下山後も体調が優れない場合は、自己判断せずに専門医に相談することも大切な大人のリスク管理です。

標高が低く身近な里山だからこそ、国土地理院の地形図を広げて等高線を読み解き、現地の歴史や大地の物語に触れる知的な冒険には、過酷な高山にも負けない深いロマンがたっぷり詰まっています。ぜひ今度の週末は、失敗しない安全なルート設計を持って、大切な人と一緒に箱根の美しい自然と極上の温泉を骨の髄まで味わい尽くして、心も体も最高にリフレッシュしてきてくださいね。あなたの週末ハイクが、素晴らしい笑顔で満たされることを福井の空から応援しています!

